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猗窩座の背中に隠された恋雪への想い。羽織に刻まれた「逆さ孤峯の雪」の文様

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猗窩座の背中に隠された恋雪への想い。羽織に刻まれた「逆さ孤峯の雪」の文様
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鬼舞辻無惨に消されてしまった狛治としての記憶。

しかし、鬼に堕ちても猗窩座は、人としての因果から逃れることはできなかった。

恋雪への恋慕を感じさせる術式の雪結晶。

2人の思い出がつまった花火に由来する技名。

そして、背中に刻まれた恋雪への隠された想い。

この記事では、上弦の参・猗窩座の羽織に刻まれた「逆さ孤峯の雪」の文様について考察を深めていきたいと思う。

当記事は、作品の感想を主体とした独自の考察を元に構成されていますが、一部ストーリーの展開が読み取れる「ネタバレ」部分も存在します。
作品未読の方は、十分ご注意ください。

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目次

猗窩座の背中に刻まれた「逆さ孤峯の雪」

猗窩座の衣装は、素肌に一枚物のベスト、そして膝下までしかないニッカポッカのように膨らんだズボンという簡素なものだ。

靴さえ履いていない。

これは猗窩座が好んで着ているものなのか、鬼舞辻無惨に与えられたものなのかは定かではない。

ただ、童磨にしても黒死牟にしても、生前のキャラクターにマッチした「らしい衣装」を着ているので、この辺りは個人の好みや意思が強く反映されていると見て間違いないだろう。

この中でも注目すべきは、猗窩座のベストである。

そもそも猗窩座の身体には、狛治時代に刻まれた「犯罪者の入れ墨」に似た文様がある。

腕、身体、顔に刻まれた紺色(墨色?)のラインは、鬼としての不気味さと異様さを際立たせている。

呪術廻戦に登場する宿儺と少々似通っているような気もするが、それはまた別の機会に考察しよう。

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背中の文様は孤峯の雪(こほうのゆき)

猗窩座が羽織っているベストにも、同じラインの模様が入っている。

【参照】バンプレスト あかざ 鬼滅の刃 22cm BP29370P マルチカラー

これについては様々な考察がされているが、三種香にまつわる模様であるという説が有力だ。

三種香(さんしゅこう)というのは、室町時代から続く日本の伝統文化「香道(こうどう)」に登場する。
香道における遊びの中に「組香」という「香り当てゲーム」がある。

そのゲームの解答として用意されている5通りの模様のうちの一つが「孤峯の雪(こほうのゆき)」だ。

<参照:茶香逍遥「三種香の名目は」

その図案を180度ひっくり返すと、猗窩座のベストに描かれたものととまったく同じになる。

<参考:茶香逍遥「三種香の名目は」>

<参考:茶香逍遥「三種香の名目は」

孤峯の雪(こほうのゆき)とは何を意味するのか?

「孤峯の雪」というのは聞き慣れない言葉である。

その意味は 「人里離れた高い山の峰に、静かに降り積もる雪」というものだそうだ。

人里離れたというのは、「自分の手の届かないところに行ってしまった恋雪」という後悔の念にも通じる。

静かに降り積もり雪は、永遠の静寂。

もはや恋雪はこの世界に存在しない、出会うことはできないという悲しみを現しているのだろうか。

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猗窩座の背中の「孤峯の雪」はなぜ上下逆さまなのか?

これには明確な答えは見つかっていないが、いくつか理由を考えてみる。

日本には「逆さごと」という伝統がある

日本の歴史や風習の中で「逆さまにする」ことには、弔いの意味が込められることがある。

上下を逆さまにするような「いつもと違うことをあえて行う風習」を「逆さごと」と呼ぶそうだ。

これには「あの世とこの世を明確に区別し、故人が現世に未練を残さず迷わず旅立てるように」という願いや気遣いが込められているのだという。

いくつか「逆さごと」の事例を紹介しておこう。

逆さ水

映画「おくりびと」のように、故人の遺体を拭き清める「湯灌(ゆかん)」を行う時、作業に使うぬるま湯を作る手順を逆にすることを意味する。

一般的には、お湯に水を足して温度を下げることが多いだろう。

しかし、逆さ事では「たらいの中に先に水を張っておいて、そこへお湯を注いで温度を上げる」という手順で行うことになっている。

逆さ着物


故人に、白い死装束を着せる時、襟の合わせを通常とは逆の「左前」にすること。

地域によっては、衣服を遺体の上にかける際、上下逆さまにするという場合もあるそうだ。

逆さ屏風(さかさびょうぶ)

遺体の枕元に立てる屏風を、上下逆さまだったり、裏返しにして行う風習が存在する。
これには生と死を区別するという意味と同時に、悪い霊を追い払う魔除けの意味もあるとされている。

逆さ布団(さかさぶとん)

故人を寝かせる布団の上下(頭と足の向き)を、通常とは逆にする風習。

逆さまにすることによる魔除け効果。

鬼が「魔除け」というのもおかしな話だが、日常の中に「非日常」をあえて作り出すことにより、災いを遠ざけ、願いを叶えるという一種の「おまじない」が存在する。

逆さ札(さかさふだ)

主に関西地方で見られる風習。

12月12日に「十二月十二日」と墨書きした紙を上下逆さまにして玄関や壁の高いところに貼ると盗難除けになるそうだ。

猗窩座は元スリだけに、盗難除けを背中に掲げるようなことはしないと思うのだが…

逆さ箒(さかさほうき)

来客の長居を防ぎ、早く帰らせるための古典的なおまじない。

ほうきを逆さまにして、上から手ぬぐいなどを被せておくことで、状況を反転させる(=居座らず早く帰る)という効力があると信じられていた。

このように、「あえて日常とは異なる逆さまの状態にする」ということには、日常と非日常=この世とあの世の境界を示す意図があるように感じられる。

猗窩座の背中には恋雪がいる

猗窩座は、人としての死を迎え、鬼として再生した。

鬼という生物は人間ではなく、かといって神でも悪魔でもない。

あの世とこの世の間で宙吊りになった哀れな生き物だとも言える。

そんな鬼となってしまった猗窩座が、忘れられぬ、断ち切れぬ恋雪への想いを「背中の模様に託した」と考えれば、それは狛治の深層心理に隠れた人間への未練が具現化したものなのかもしれない。

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この記事を書いた人

「猗窩座|狛治」というキャラクターに魅了され、猗窩座.comを立ち上げ。漫画大好きで蔵書は数千冊。社会倫理思想の観点から独自の漫画分析を試みる地方在住のお気楽フリーライター。

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