鬼滅の刃に登場する鬼は、それぞれ個性的なデザインや容姿・顔を持ち、適役ながら主人公たちと負けず劣らずの輝きを放っている。
その中でも、独自の美学を貫き、涙無しにはいられない悲しい過去を持つ猗窩座は、人気のキャラクターである。
猗窩座の場合、その容姿も注目だ。
人間の常識を越えた「鬼としての視覚的デザイン」の理由は何なのか?
猗窩座があのような独特の容姿をしている謎を徹底的に考察する。
人間・狛治の頃の面影を残しつつ、独特は造形とカラーリングで異彩を放つ、猗窩座というキャラクターの顔と姿に今回は着目してみよう。
当記事は、作品の感想を主体とした独自の考察を元に構成されていますが、一部ストーリーの展開が読み取れる「ネタバレ」部分も存在します。
作品未読の方は、十分ご注意ください。
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猗窩座の顔には「生と死」が同居している。
猗窩座の顔や姿は、鬼でありながらも人間であった狛治時代の様子を色濃く残していると言える。
だが、明らかに炭治郎達鬼殺隊や通常の人間とは、雰囲気が異なるという点は、間違いようのない事実だ。
人間らしさの中にある死の気配
武道家・狛治が原型であるため、猗窩座自体もかなり筋肉質のスマートな身体をしている。
身長こそ173cmと大きくはないが、筋肉が太く、身体が厚いという印象だ。
顔はやはり幼く、18歳で鬼となった狛治の「10代特有の幼さや純粋さ」を感じさせる容姿になっている。
その顔の幼さとは裏腹に、肌は血の気ひいたような、まるで死人のような砂色(青みがかったような灰色)をしている。
血の気が引き、生気のない不健康な顔色を「土気色(つちけいろ)」と言うが、猗窩座の肌はまさにそんな感じ。
これは、猗窩座がすでに「命をなくした人間」であることを雄弁に語っているものと思われる。
紅梅色の短髪と刻まれた入墨
頭髪はもちろん、眉毛やまつ毛など、あらゆる毛が鮮やかな紅梅色(ピンク色)であることも興味深い。
基本的なスタイルは狛治時代のものであり、やたら毛深いまつ毛もその名残だろう。
この独特な髪色は頭髪のみでなく、足や手の指先や爪にまで広がっており、アニメ版における猗窩座は、かなりカラフルで「視覚的なアクセント」に富んだキャラクターになっている。
全身に刻まれた藍色の模様は、狛治時代の入れ墨
猗窩座の顔を含めた全身に刻まれているのが、くすんだ藍色の線が伸びた模様である。
これは江戸時代に狛治が犯したスリの罪を示す「入れ墨」であり、鬼化によって全身に広がったということが判明している。
「弱い者、妻、義父を守れなかった」という罪を背負って生きる猗窩座が、生前の狛治が犯した罪を引き継いたかたちだ。
この模様を残したというのは、猗窩座自身の後悔の念があまりにも強いからなのか、それとも「二度と同じ過ちを犯さない」という戒めのためなのか、その詳細な理由は未だ謎のままである。
印象的な目と瞳、毛が紅梅色の理由
かなりインパクトの強い猗窩座の顔ですが、中で最も目を引くのが、目元だろう。
アーモンド型のパッチリした目は、狛治のそれと酷似している。
バサバサと多めのまつ毛も同じだ。
白目にあたる部分はくすんだ淡い水色、ヒビが入ったような模様が幾重にも重なっている。
瞳の色は輝く黄色。
右目に「上弦」、左目に「参」という文字が刻まれ、まさに「上弦の鬼」であることを見せつけるディティールになっている。
猗窩座の場合、髪の毛だけではなく、まつ毛も眉毛も紅梅色(ピンク色)になっている。
これは紅梅色(ピンク色)に対して相当なこだわりや想いがあると考えるべきだろう。
推測だが、「恋雪が好きな色だった」というのは、可能性は高いように思う。
自身の技や術式に花火や雪のモチーフを使うなど、鬼になっても愛する恋雪への想いは捨てきれない猗窩座であれば、「色」についても恋雪との思い出を取り入れていておかしくない。
実際、恋雪は紅梅色(ピンク色)の着物を好んできている姿が描かれている。
猗窩座の顔を描きたい!色分けの基本を調べてみた
猗窩座は人気キャラクターなので、イラストやファンアートなども数多く描かれている。
猗窩座の独特なスタイルを表現するには、その色彩についてもある程度正確に踏襲する必要があるだろう。
猗窩座は、あの色でこそ魅力的なのだ。
アニメーションの色彩設定などを参考に、デジタルイラストで扱いやすいRGBとHEXコードで、「猗窩座を描く際の色彩数値目安」をまとめてみた。
公式の数値ではなく、あくまでも一般的なカラーピッカーで抽出した標準的な数値である。
自然光や影の演出など、描くシーンに合わせて調整をしていただきたい。
髪・爪は紅梅色(ピンク)

【RGB】R: 225, G: 107, B: 140
【HEX】#E16B8C
単なるピンクでは少々軽々しいので、少し赤みと深みを咥えた「梅の花の色合い」を表現しよう。
彩度を高めに設定することで、よく映える色味が再現できる。
死人のような青砂色の肌

【RGB】R: 214, G: 214, B: 214 (やや青みを含ませる場合は R: 218, G: 223, B: 215)
【HEX】#D6D6D6 または #DADFD7
日本人の健康的な肌色とは趣が異なり、「明度の高いグレー+少々の青緑」という混色がベストの組み合わせか。
どことなく無機質で冷たい印象が、髪・爪の紅梅色とのコントラストを高め、異様さを引き立てる。
入れ墨の暗くくすんだ藍色

【RGB】R: 22, G: 74, B: 132
【HEX】#164A84
入れ墨というと、黒もしくはめっちゃカラフル!というイメージがあるが、こちらは暗く沈んだ藍色。
日本の伝統色として馴染み深い藍色である。
肌のグレーと馴染みがよく、冷色同士が混じり合うことで、鍛え抜かれた肉体と相まって重く、そして強固な印象を与える。
黄色い瞳と水色の白目

【瞳のRGB】R: 255, G: 217, B: 0 (HEX: #FFD900)
【白目のRGB】R: 160, G: 216, B: 239 (HEX: #A0D8EF)
白目は水色がベースになる。
ガラスが割れるように濃い目の青色でひび割れが描かれている。
中心の黄色い瞳がかなり目立つのは、青系とのコントラストによってだろう。
鬼としての鋭い眼光は、十分に威圧的だ。
灰色の肌と藍色の刺青という重い「寒色」をベースに、髪や瞳の明るい色が鮮烈なコントラストになっている。
猗窩座は、「鬼としての冷酷な残忍さ」と「人間としての血の通った熱さ」を併せ持つキャラクターだ。
極端な色使いによるインパクトが猗窩座という鬼の特色を、如実に表しているように感じる。
猗窩座の顔と他の上弦の顔の違いから考える鬼の美意識と生き方
鬼舞辻無惨によって鬼化された場合、人間だった頃の特徴や怒り、憎しみ、あるいは悲しみといった感情、生き方そのものが、その姿に色濃く顕在化する場合他多いように思う。
猗窩座の顔立ちは、人間時代の狛治との関連性も強く、より「人間に近い」ものである。
では、他の上弦の鬼はどうなっているのだろう。
上弦の壱・黒死牟/嫉妬で歪んだ異形の侍
黒死牟の顔は非常に特徴的だ。
蜘蛛のように6つの目を持つ異形の姿。
少なくとも顔には、人間時代の面影はない。
黒死牟は能力も身分もある立派な侍だったが、天才的な剣技の才能を持つ弟・縁壱に嫉妬し、彼に勝つ(実際は縁壱のようになりたかった)という執着が、顔面を大きく歪ませたと考えられる。
人間としての内面に巣食う醜い嫉妬が、鬼として具現化されたのではないかと推測される。
上弦の弐・童磨/人の姿をした空っぽな人形
童磨の背格好は、完全な人間である以上に、外見的には魅力的過ぎる美青年として描かれている。
彼は両親が立ち上げた「万世極楽教」という新興宗教の教祖である。
当然、何も知らない人間の前に立つ場面が多いので、人のかたちをしている方が便利という理由はあるだろう。
しかしそれ以上に重要なのは、童磨が「人間らしさの欠片もない空っぽの心」を持っているということだ。
黒死牟のような嫉妬や怒りの感情がなく、何も感じない。
その結果、内面の歪みはなく、いわば「正直にまっすぐに鬼になった」ということなのだと考えられる。
上弦の伍・玉壺と上弦の肆・半天狗/人間であったことを捨てた化物
目と口の位置がおかしいという微妙なバランスの顔をした玉壺。
本体は弱々しい老人の姿ながら、その感情に合わせて様々な化物を生み出す半天狗。
彼らの容姿は、まさに「これぞ鬼」という異形の姿をしている。
人間として当然持つべき倫理観を完全に放棄した、存在自体が「完全なる悪」という状況であり、自身の欲望に対して忠実に生きる「化物」である。
上弦の参・猗窩座の肉体に刻まれた武道家としての魂
猗窩座は、黒死牟のような「複数の目」や玉壺のような「体が壺と一体化」といった極端な異形化を起こしていない。
猗窩座の姿は、あくまでも「人間時代と同じ強さを極めるために生きる武道家」であり続けている。
これは、彼は自らの鍛錬による肉体・技の強化による「至高の強さ」を求めており、例えば、異常に身体を大きくしたり、腕を余計に生やしたりという「異形による強化」を望んでいないということだろう。
顔に残る狛治と同じ幼さや純粋さは、「守るべき愛する人をを守りたかった」という人間時代の悔恨を、鬼化した後もその無意識下で捨て去ることができなかったということだと考えられる。
彼が人間としての記憶を完全に失っていたのは、鬼舞辻無惨の仕業なのか、それとも狛治自らがそれを望んだのか。
人間への未練が残っている状態の猗窩座にとって、人間時代の記憶は、鬼として生きるのに邪魔であることは間違いないだろう。
猗窩座の顔のカラーリングに見るキャラクターとしての特性
猗窩座の顔は、「派手で奇抜」という印象が強いが、その裏側には、彼の葛藤や感情にまつわる様々な想いが渦巻いていると分かる。
死を表す沈んだ肌の色、罪の象徴である藍色の入れ墨、人間時代のあどけなさを残す顔。
彼の歩んできた壮絶な人生の歴史が、その中に色濃く残っているのだと思うと、視覚的なデザインによるキャラ造形の奥深さが猗窩座というキャラクターをより魅力的に見せてくれる。
