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猗窩座が炭治郎に重ねた師匠・素山慶蔵の面影。煉獄杏寿郎を巡る因縁の対決

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猗窩座が炭治郎に重ねた師匠・素山慶蔵の面影。煉獄杏寿郎を巡る因縁の対決
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猗窩座と竈門炭治郎は、深い因縁を持っている。

煉獄杏寿郎を巡る一連の闘いの中で、彼の死を目の当たりにした炭治郎は、鬼狩りの一人として乗り越えなければらなない大きな壁にぶつかることになる。

猗窩座が常に炭治郎に対して感じていた「不快感」の原因。

そして、なぜか竈門炭治郎と重ねてしまう師匠・素山慶蔵の面影。

2人の関係性を煉獄杏寿郎、素山慶蔵の2人の存在をからめて考察したいと思う。

当記事は、作品の感想を主体とした独自の考察を元に構成されていますが、一部ストーリーの展開が読み取れる「ネタバレ」部分も存在します。
作品未読の方は、十分ご注意ください。

無限城編での猗窩座との死闘をもう一度、その目に焼き付けよう!

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目次

猗窩座と炭治郎の因縁となった煉獄杏寿郎の死

猗窩座と竈門炭治郎の初対面は、無限列車編の最終盤。

無限列車に巣食う鬼を倒して一息ついているところに突然現れた上弦の参・猗窩座。

満身創痍の煉獄杏寿郎が立ち向かうが、猗窩座の技によって瀕死の重症を負う。

日の出が迫り、日光を避けるために「勝ち逃げ」を決めた猗窩座に向かって、炭治郎は叫ぶ。

逃げるな!卑怯者
鬼滅の刃8巻・第65話「誰の勝ちか」

お前の負けだ!煉獄さんの勝ちだ!
鬼滅の刃8巻・第65話「誰の勝ちか」

圧倒的な不利な状況下でも、信念を曲げることなく、命の限りに闘った煉獄杏寿郎。

自分の未熟さ故に、煉獄を助けるどころか、加勢すらできなかった不甲斐なさに、炭治郎は怒りを覚えたのだろう。

自分の家族を、何の罪もない人々を殺して回る鬼への怒り、そして、鬼殺の剣士でありながら、何もできなかった自分。

その両方に対する怒りが、こういった発言そして、猗窩座に投げつけた刀に込められていたと考えられる。

この一件により、猗窩座と炭治郎の因縁は結ばれた。

炭治郎にとって、猗窩座は自分たちを守るために死んだ先輩・煉獄杏寿郎の仇。

猗窩座にとって、炭治郎は弱いくせに、自分の神経を激しく逆撫でするやっかい者。

無限城へと続く闘いの序章は、こうして幕を開けたのである。

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煉獄杏寿郎が語った「信じること」の強さ

そして今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ。
俺は信じる
君たちを信じる
鬼滅の刃8巻・第65話「誰の勝ちか」

煉獄杏寿郎は、人生最期の言葉として、「信じることの重要性」を説いた。

柱合会議で「死刑」を宣告されていた禰豆子に対して、無限列車内での必死の闘いを見て、「俺は君の妹を信じる。鬼殺隊のいち員として認める」(鬼滅の刃8巻・第66話「黎明に散る」)と言った。

信頼は、チームで行動する者にとって、目的を達成するために必要不可欠な要素である。

鬼との闘いは、鬼殺隊士によるチーム戦となる場合が多い。

猗窩座と煉獄杏寿郎のように、夜に強い鬼に対しては、柱でさえも単独で勝つことは難しいのだ。

その上で、「仲間を信じる」「自分を信じる」ことこそが、人間というちっぽけな存在が、苦難を乗り切るためには必要であると彼は「信じている」のだろう。

伊之助は語る。

信じると言われたなら、それに応えること以外考えんじゃねえ!
鬼滅の刃8巻・第66話「黎明に散る」」

伊之助らしい、少々乱暴で短絡的な解釈であるが、煉獄の死という悲しみを乗り越え、前に進むためには必要な割り切りと言えるだろう。

猪突猛進、何事も深く考えないような伊之助にさえ、感銘を与えた煉獄杏寿郎の言葉は、やはり重い。

自分を卑怯者と罵る炭治郎に対して

何を言っているんだあのガキは
脳みそが頭に詰まっていないのか?
鬼滅の刃8巻・第65話「誰の勝ちか」

としか考えられない猗窩座は、数百年生きているとはいえ、ひどく幼く、無邪気に思える。

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猗窩座が炭治郎の中に見た素山慶蔵の姿

幾多の激しい鬼との闘いを経て、ついに無限城で再会した猗窩座と炭治郎。

無限列車の時とは比べ物にならない練り上げられた炭治郎の剣技を目の当たりにして、猗窩座はついに「お前は確かに弱くなかった。敬意を表する」(鬼滅の刃17巻・第147話「小さな歯車」)とついに炭治郎の実力を認める。

鱗滝が言っているように、無限城での闘いは「最終局面」(鬼滅の刃17巻・第147話「小さな歯車」)であり、長きに渡る鬼との闘いが今夜終わるかも知れないという重大決戦だ。

しかし、現場にいる炭治郎には、そういった大局は見えていないかも知れない。
彼らにとって重要なのは、「眼前の鬼を倒し、鬼舞辻無惨を滅すること」のみだ。

そこに再び現れた猗窩座。
まさに「猗窩座、再来」。

炭治郎にとって、猗窩座は「ただの鬼」ではなく、恩師・煉獄杏寿郎の仇である。

徹底的に弱者を疎んじる猗窩座に対し、炭治郎はその考え方の間違いを堂々と指摘する。

強い者は弱い者を助け守る
そして弱い者はつよくなり
また自分より弱い者を助ける。
これが自然の摂理だ。

鬼滅の刃18巻・第148話「ぶつかる」

それに対して猗窩座は

理解した
俺はコイツを体の芯から受け付けないのだ

鬼滅の刃18巻・第149話「嫌悪感」

と明確な嫌悪感を示す。

「弱い者を守る」というのは、猗窩座が人間だった時に、「行動規範」として身につけていた考え方だ。

狛治は、病気の父親、恋雪といった弱い者を守ることを生きがいにする狛犬だった。

その人間時代の記憶が呼び覚まされることに、猗窩座の身体、精神が拒否反応を示している。

間違いなく、鬼舞辻無惨の呪いの影響だろう。

そして猗窩座は、炭治郎の言動や立ち居振る舞いに、かつて自分を諭し、導いてくれた恩師・素山慶蔵の面影を重ねるのだ。

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猗窩座にとっての素山慶蔵とは

炭治郎、渾身の一撃により首を斬られた猗窩座は、人間時代のすべての記憶を思い出す。

無惨の呪いが解けかけ、鬼と人間の間で思考が混濁している状況で、偶然にも刀を落としてしまった炭治郎の拳が、猗窩座の頬を殴りつける。

流れを変えたのは、この「拳」だった。

武器を使わず、素手のみで戦う武道である「素流」を学び、武道家となった狛治。

鬼となっても、そのスタイルは変わることなく継承されている。

炭治郎が放った「守る拳」が、

そうだ俺が殺したかったのは
鬼滅の刃18巻・第156話「ありがとう」

と、忘れていた「本当の心」を思い出させた。

素山慶蔵について、作中で多くは語られていない。

・素流を立ち上げたものの生活はままらない
・ラッキーで土地と道場を入手
・妻を看病疲れで自殺させてしまう
・病気の娘の看病もままならず、拾ってきた不良にすべて任せる

といった「おいおい、大丈夫か?」という一面が多いのだが、まっすぐで心の清い男であったことは間違いないだろう。

少なくとも苦難の人生を歩んできた少年狛治に「生きる希望を与えた」ことは評価に値する。

しかし、爪が甘い。

結局は、自分の管理不行届によって、隣接道場のどら息子に親娘そろって毒殺されるという失態を演じてしまう。

素山慶蔵がもっとしっかりした男だったら、狛治は鬼になることもなく、恋雪と幸せに暮らしていたのではないだろうか?

そう考えると、諸悪の根源は、「素山慶蔵のいい加減な性格」であったように思えてくる。

狛治に「自分の弱さ」を自覚させたのは素山慶蔵であるが、「弱くても善い」というところまでは教えられなかった。

素山慶蔵の教えは「昨日の自分より強くなること」(鬼滅の刃18巻・第149話「嫌悪感」)である。

狛治=猗窩座が抱いていた「弱者への嫌悪感」は、そのまま「大切な人を守れなかった自分自身への絶望」に変わってしまう。

自分への失望、世の中に対する絶望が、鬼舞辻無惨の誘いを受ける理由の一端になってしまったことは明白であり、後の様々な悲劇の元凶となってしまったことは、残念でならない。

過酷な運命に立ち向かった名作マンガの師弟コンビおすすめ4選

①『HUNTER×HUNTER』のカイト&ゴン=フリークス

ゴンにとってカイトは、ハンターとしての生き方を教えてくれた師匠と呼べる存在。

しかし、圧倒的な悪意と強さの前に、2人は敗北する。

師匠を救えなかった無力感と、敵に対する激しい怒りに身を震わせるゴン

理不尽な絶望に直面することになったゴンの見せる執念とは…

②『呪術廻戦』の七海建人&虎杖悠仁

呪術師としての厳しい現実を教えつつ、虎杖を懸命に守ろうとした七海。

過酷な戦場の中で2人を待ち受けっていたのは、悲しすぎる別れだった。

煉獄杏寿郎同様、師匠が命を懸けた末に遺した最後の言葉は、残された弟子にとって、その後の人生における大きな指標となるものだ。

もちろん、杏寿郎の思いを背負って闘った炭治郎のように、「亡き師匠のために」という呪縛として重荷になってしまう可能性もはらんでいる

③『チェンソーマン』の早川アキ&デンジ

お互いに反発しあいながらも、共同生活の中で「兄弟」のような絆を結びあった2人。

アキは師匠として「デンジたちを守る」ために行動するが、とある悪意によって、その重いは最悪の形で結実することになる。

抗えない残酷な運命の悪戯。お互いを思いあった2人が向かう悲劇的な結末は、あまりにも凄惨だ。

④『NARUTO -ナルト-』の自来也&うずまきナルト

自来也は、ナルトにとって、忍者としての心得や技術を教えた師匠であり、祖父のような存在。

しかし、過去の因縁が絡む壮絶な闘いの末、2人の関係は絶たれてしまう。

深い悲しみに沈むナルトは過酷な運命に立ち向かうことを決意し、師の目標である「憎しみの連鎖を止める」という遺志を継承し、闘い続ける。

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この記事を書いた人

「猗窩座|狛治」というキャラクターに魅了され、猗窩座.comを立ち上げ。漫画大好きで蔵書は数千冊。社会倫理思想の観点から独自の漫画分析を試みる地方在住のお気楽フリーライター。

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